途中書評:ジャック・アタリ著「金融危機後の世界」
ジャック・アタリさんの新著「金融危機後の世界」を、昨日から読み始めて第二章まで読み終わりました、タレブさんの「ブラック・スワン」と違い原文がしっかりしているようで、日本語訳もとても読み易いです、そして前著の「21世紀の歴史」が将来の歴史という漠としたテーマだったのに対し、本書は今回の金融危機に焦点を当てているので論旨も明確です、アタリさんは世界同時不況の原因は"アメリカ社会が自国の中産階級に、きちんとした賃金を与えなかったからだ"と書いています。
今日のテレ東WBSで解説の中島さんが労働分配率を上げろ!つまり賃金を上げよとおっしゃっていました、1社だけそうするとゲーム理論で排除されてしまうと、危惧を抱かれるトップが多いと思いますが、従業員を安くコキ使うのではなく、適正な賃金を与えると企業の貴重な"人財"となり、新しいアイデアを生み出し企業が活性化するのです、そして日本全体で労働分配率が上がると、確実に内需が上昇するので景気も良くなるのです、ということで実はコレが最大の景気刺激策と言えます。
さて今まで読んだトコで気になったフレーズがあります、アタリさんは"インサイダー...つまり金融関係者に富が集中することで、優秀な人たちが研究者とエンジニアにならなかった"と書いています、確かにロシア危機で潰れたLTCMのトップたちは、元々は物理学者で金融工学に転向しヘッジファンドを起こしたのでした、そういう意味で今回の金融危機と世界同時不況が、遅ればせでも実態経済にヨイ影響になることを期待します。
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