中台対話
いよいよ中台対話が始まります、毎日新聞が社説で「中国には、この国共会談を台湾与野党の対立分断をあおる政治的策略に利用するのではなく、政権党である民進党との会談を展望した平和的対話戦略として位置づけてもらいたい」と書いてありますが、中身はもっとドロドロしたものだと思います、台湾の内省人を基盤とする民進党は、台湾が将来政治的に中国に組み入れられた場合、ひとつの省としての台湾の独立性に明らかにこだわりますが、中国本土の政権を奪取しようという気持ちは薄いと思います、でも台湾の外省人を基盤とする国民党はそうではありません、中国の共産党による一党独裁が崩れ、国民党にも中国本土の政権奪取の機会が来ることを願っているはずです、もちろん戦争を起こそうなどとは思っていないでしょう、あくまで平和的にそうなることを考えているはずです
中国政府はどう思っているのでしょう、頭の柔軟な人は早晩一党独裁が立ち行かなくなる可能性が高いと思っているでしょう、そこでそうなる前に国民党の力を確かめ、その考えを聴いておこうということだと思います、本来中国政府としては台湾がひとつの省になってくれれば台湾内にとどまる民進党の方が危険は少ないはずです、彼らは民主政治になっても今の共産党の指導体制が揺るがない方向を模索していると思われます、中国と台湾のビジネスマンは中台関係が緊迫することを一番嫌っているはずです、そして平和的に民主政治に移行すれば自分達の財産・地位は安全と思っているはずです、この中台対話は日本の将来を占う上でも徹底的に重要です、このような双方の思惑を日本の政府・外務省がキッチリみれるかどうか私には疑問です
《追記》
コメントありがとうございます、非常に興味深いので本文に全文を提示させていただきます、「中華人民共和国憲法は複数政党制を認めており」という点で巧妙にガス抜きをしていますね、このへんの成り立ちが後に変質しましたがプロレタリアート革命を起こし、帝政を崩壊させたロシア=ソ連と違うところだと思います、中国の場合隣国がソ連ということもあり、たまたま共産党政権になったというのが私の印象です、台湾はある意味本当に一国として独立したい民進党と中国の一部に潜り込み本土を奪取したい国民党の争いなのかもしれません、今の中国は中央集権ではありません、朱元首相の指導で地方分権が日本より遥かに進み、見事な中華”連邦”共和国に仕上がりました、気付いている人が余りにも少ないのですが、正直このことだけも日本にとっては脅威なのです、私はこれで中国の分裂はなくなったと読んでいます、国民党と組んで台湾を取り込むことは可能です、中国共産党の本来の支持基盤は地方の農民層です、先富は終りました、これからはその富をいかに地方の農民層に拡げられるのか、中国共産党の運命はそこにかかっています、いずれにしても長い目でみた民主化は避けられないと思います
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<いただいたコメント>
正確には、中華人民共和国憲法は複数政党制を認めており、共産党だけが「執政党」として権力を握り、その他の政党が「参政党」として存在を認められている形です。だから「一国二制度」もあれば、非共産党員の国家副主席就任もある(実質的な権力はない)という仕掛け。日本人が中国政治を誤解しがちなのは、つい西洋流の仕組みや考え方を当てはめようとするからで、中国は中国的に憲法や政党を規定しているので、ここからして齟齬が生まれてしまうことになります。台湾の「独立」も省としての独立ではなく、大陸をも含めた中華民国全体からの独立という意味ですから、この点も留意が必要だと思います。
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正確には、中華人民共和国憲法は複数政党制を認めており、共産党だけが「執政党」として権力を握り、その他の政党が「参政党」として存在を認められている形です。だから「一国二制度」もあれば、非共産党員の国家副主席就任もある(実質的な権力はない)という仕掛け。日本人が中国政治を誤解しがちなのは、つい西洋流の仕組みや考え方を当てはめようとするからで、中国は中国的に憲法や政党を規定しているので、ここからして齟齬が生まれてしまうことになります。台湾の「独立」も省としての独立ではなく、大陸をも含めた中華民国全体からの独立という意味ですから、この点も留意が必要だと思います。
Posted by: 斉藤久典 | April 27, 2005 05:08 PM